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日記

日記です

街と人

明治通りに面した見晴らしのいいカフェ。

流行のサバサンドもあるし、オートミールでできた大きなソフトクッキーも数種類、小さなキューブ型のブリオッシュもある。

セルフサービスの水のタンクは蓋と蛇口の付いた厚いガラス瓶でできていて、中には氷と柑橘系のフルーツとローズマリーが浸してある。

 

ランチの時間ともなればどこの店も混みあい、街にはどこからかお洒落で綺麗な女の人達が湧いて出てくる。

通り沿いの木は桜の木だそうで、春には明治通りを彩るらしい。

 

 

 

 

一体、私の数年間はなんだったんだろう。

 

結局、いろいろな職業に淡い憧れはあるものの、具体的に将来なりたい職業だとか、そのための何かというものをしてこなかった私は、はたしてどこの会社に就職したいのか全く分からず、やみくもに就活をし、なんとかひっかかった一社にそのまま入社した。

 

入社する前から入社するのが嫌で嫌でたまらなかったものの、こういう経緯で就職した人間に他の仕事なんかあるわけがないだろうと思い、とりあえず続けていた。

それに、仕方なく就職する分、拘束時間が短そうで楽そうな仕事を選んだつもりだった。

実際、思っていたより楽ではなく、毎日毎日嫌なことの連続で、一瞬たりとも仕事楽しいなんて感じたことが本当になかった。

 

それでも、世の激務と言われる仕事に比べれば肉体的な苦痛は無いし、メンタルの面で病院で特定の病を診断され退職した同期の友人もいたが、私はずっと、拘束時間の短い分、こんな楽な仕事で音をあげていたら人として低い人なんだ、ここですらダメな人なんてどこも雇ってくれないんだ、ここですら嫌で嫌で仕方ないなんて私はきっと甘えただめな人間で、だからこそここしか受からなかったんだ・・・と思っていた。

半面、年度末の式典などでお偉いさんが「みなさんはこんなにいい会社で働けて本当に幸せですねえニヤニヤ」とスピーチするのを聞いていて、なんかうそくせー、騙されてる気がするーとも思っていた。

 

 

私はずっとぬるい環境にいた、だからきっと他の仕事はつらかろう、でもここに何年もいても仕事が嫌いということは変わらなかった、どんな苦労をしてももういいから、これで辞めなきゃきっと後悔する、きっと他の仕事はつらかろう、でもいい、そう思って転職をして、今働いています。

 

今のところ、ぜんぜんツライとか感じでない、嫌だとかも感じてない。

もしかしたら、ものすごくいい会社に転職したんじゃなかろうか・・・。もしかして、転職成功?

えっ・・・私の人生に成功の2文字が・・・?

信じられない・・・

 

というか、世の中のBtoBの仕事してる人って、こんなホワイトカラーな仕事してたの・・・?

こういう世界を知らなかった。

 

 

今までだって、資格を数種類取って商品知識を毎回更新して、細かな事務手続きをしてタイミングとニーズをつかんで営業かけて、と頭と神経をフルに使う仕事だった。

 

それを、誰でもできるこんな仕事すらできないんじゃだめなんだと思ってやってきた。

 

が、今に比べればだいぶブルーカラーな仕事だったと思う。

 

いま少なからずカルチャーショックを受けてるかも。

なんか働くみんなが人当たりが良いながらもシュッとしてるし、というか、この街に出入りしてる人達ってのがみんな脊髄に“この街で仕事してるのよ”っていうプライドみたいなものを注入されて、この街感を住民たち(仕事で出入りしてる人を含む)で維持しているような気さえする。

 

でも、ここの人たちにとっては、目に映るこの街が人生なんだ。

 

 

カフェでランチを取った時、ナッツの詰まったデニッシュを3分の1ほど残してしまい、トレイを戻す時、接客中の店員さんが先に受け取ろうとしたので、持ち帰りたい旨を伝えようとしたところ、「あのこれ・・・」と言った時点で持ち帰りですねと紙袋に入れさらに手提げ袋にいれてわたしてくれたのだった。

その間、目の前のお客さんの対応もしている。

 

そんなノンストレスなあれこれを、みんなが気持ちよく今日を過ごすために、みなんが徹底している・・・

いつもきれいにお使いいただきありがとうございます

のトイレの張り紙みたい。

 

私が気持ちよく過ごすために綺麗に使うことで他の人も気持ちがいいので綺麗に使う

 

そんな感じ。

 

会社の人がいい人なので、みんながストレスを感じず働けるように私もはやく仕事を覚えて気持ちよく働くことに貢献しよう。とか思ってるしね。

 

今までって一体なんだったんだ。

あの辛く苦しく喜びの無い、自尊心のすり減る日々はなんだったんだ。

 

だけど、最初がブルーカラーだったからこそ、今のいい環境に感謝の念が生まれ、苦痛やめんどくささを感じずに働けるってのはある。

 

きっと働いて行くと仕事の量も増え大変さも感じるのだろう。

どんな仕事も大変だというし。

 

だけど今のところ、ひたすらこれだけを実感している。

 

美人にも美人なりの苦労がある、

なら美人の方がよくない?

 

という言葉を。

 

これはツイッターでみかけた言葉なんだけど、ウディ・アレンの「ローマでアモーレ」も似たようなことを言っていた気がする。