日記

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ラ・メール 裏切りのサーカス

2週間ほど前キングスマンを借りた。ずっと黒渕眼鏡をかけたコリン・ファースがよくて観たいと思っていたのだ。借りてみると監督はキックアスのマシュー・ボーンでコメディ寄りのスパイアクションで面白かった。
そこに出てくるセリフに「マナーが紳士(男?)をつくる」とあり、ここで言う紳士とは、私たちが思うきちんとした小綺麗なレディファーストする男性、とは恐らく違うだろうと思う。そこでイギリスにおける紳士とはなんぞ?からスタートし、イギリスについて調べはじめ、避けて通れない階級の話にいきつきイートン校に興味が湧きパブリックスクールの本を買うまでに至った。
同時進行で、コリンファースが良かったので彼の映画も借りまくっていた。
ちなみに、コリンファースが出演するアナザーカントリーという映画は、主人公が実在するスパイ(の回想)で舞台がイートン校だった。そのスパイと共に働いていた別のスパイを題材にした映画が裏切りのサーカスで、こちらもコリンファースが出ている。スパイ、イートン校、コリンファースが繋がった瞬間であった。

裏切りのサーカスが良かった。
久々に、もしかすると年に100本以上観ていた高校生ぶりに社会派ドラマをレンタルしたかもしれない。
はじめは観ていてたるくて、途中から「あれ?もしかして面白い?」と思い始めた時にはもう話しの7割が過ぎていた。レビューにも2回観たくなると書いてあったのを思いだし律儀に2回観たのだが、2回目はすごく感動した。2回観てよかった。

ちなみに主演は中3から高校生にかけて好きだったゲイリー・オールドマンである。
原作を書いたのは本当にMI6にいた元スパイというのだからすごい。派手な演出や臨場感のあるBGMなどもなく、視覚と集中力が頼りの映画だった。二重スパイを探すというストーリーだったがアクションではないためスパイ映画によくあるカーチェイスや小型盗聴機や銃撃戦はなし。
そしてサスペンス、ミステリーに分類される映画だったけど、犯人探しの過程よりもラストで感じる人間味、人間臭さみたいなものにものすごく感動した。
ストーリーのメインは二重スパイ探しだが、大きくスポットライトを浴びないサイドストーリー、サイド設定?が感動を誘った。

主人公は冷静沈着で明晰で二重スパイ犯も「こいつにはバレてるのでは?」と思うほどの人物だが、奥さんが浮気性らしい。回想シーンでも奥さんは浮気をしていて、現在も奥さんは家を空けているし、いつものことのようで主人公は慌てたりしない。しかしそんな妻からもらったライターのことをいつまでも忘れておらず、心底愛してる感が伝わる。

私はまんまと思い巡らせてしまったのだが、見終わった後心底謎だった。主人公は冷静沈着、頭脳明晰、しかしよくあるハンター気質のプレイボーイという風情はなく真面目で信頼できる仕事人といった風で、なのになぜあんな扱いづらい嫁といるのだろう?いくらでも自分にとってメリットのあるもっと扱いやすい嫁を探すことはできたし、その明晰さやその性格からも、そうした理性的な判断の下に結婚相手を選ぶことくらいできただろうに。と考え終わったタイミングで、「ああ~」と深い納得のため息が出た。

どれだけ冷静な判断ができ、いつも正しい方法を選び取れる頭脳をもっていても、理屈じゃない、わからない何かに振り回されることがあるのだ。そしてそれが私たちが人間たる所以であるという気がした。

映画ではラストも含め、明晰なエリートが「なぜ?」という行動をとることがあり、犯人探しの過程でもその道筋に腑に落ちない箇所があり、論理的に犯人の手口を説明できない。
しかしそれは、やはり情みたいなものが人間に迷いを起こさせた結果、不合理な行動をとるのだとすると合点がいくし、これはミステリーではなく人間ドラマなのだと思わせた。

どなたかのこの映画の感想ブログにて、ラストで流れるラ・メールは映画では原詞のフランス語(海を題材にした歌)を使っていたが、実はこの歌には英詞版があり、そちらは歌詞がラブソングになっていると書いていた。ついでに、ラブソングの英詞版を使わないところがイギリスっぽくていいと書いていて、私もいいと思った。

映画は全体的に静かに進み、大袈裟な号泣シーンや誰かが辛い心情を吐露しカタルシスが盛り上がるシーンもない。それでも感動する。

ラ・メール 多分みんな聞いたことあるはず
https://youtu.be/ftcnABNVQYk