日記

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ロンドン一人旅5日目 最後のディナー

コヴェントガーデンからラッセルスクエアを目指す。

2駅程度だしロンドンを歩き回れるのも実質今日が最後だし、歩きながらいい感じのインド料理の店を探そう。

ロンドンの一駅の距離は東京23区とそう変わらないが、人口は800万人ほど、東京23区より100万人少ない。

だからか、どこを歩いていても頭の痛くなるような「人ごみ」には出くわさなかった。

街中に点在する小さな地図を頼りに歩いたが、なにせ方向音痴なので隣駅のホルボーンにつくまで1時間もかかった。

途中黒人女性にホルボーン駅を尋ねられたが私が聞きたいくらいだった。

ロンドン最終日にして道を尋ねられるとは、私もとうとうロンドナーになったのか、と一瞬嬉しく思ったが、ロンドンは国際都市なので、どこの国もどんな人もいる。

アジア人なんて珍しくないのだ。

西日に打たれながらひたすら歩く。

観念して大英博物館付近のカレー屋さんをググることにした。

いつもなら、さっとスマホを出してすぐに調べるのだが、ロンドンにいる間は、まずはWi-Fiの電源をオンして数分待ってそしてスマホをいじらなければならないので調べるのが面倒なのだ。

だけど何としても今日こそは、うまい外食がしたい。

そして美味しそうなインドカレー屋さんを見つけた。

シャフツベリー・アベニューにあるインドレストラン。

やっとのことでたどり着くとちょっとした列ができていた。

ちなみに観光客らしき家族連れだったので、おそらく観光客慣れしている店だろうと思い、これなら安心して入れると思った。

しかし、ここでも私の悪い癖が出る。

入る勇気がない。

だいたい、インドレストランという雰囲気で、白いテーブルクロスが掛かっているし、ナプキンも置いてある。

サマータイムで周囲は明るいけれど、そろそろディナーの時間で、誰もが2人組かグループか、とにかく「一人」以外でテーブルを囲んでいる。

いつだったか、スペインでは食事を一人ですることがかなり変なことで、見ず知らずの他人が、「よかったら一緒に食べますか」と声をかけてくるらしい、とテレビで観た。

まさかイギリスにはそんな文化はないだろうか?

それに、レストランって、いったいいくらするのだろう。ロンドンでのカレーの相場はいくらなのだろう。

レストラン、観光地、ぼったくられはしないか。

なぜイギリスに食べログがないのだ。ディナーの平均予算額を載せてくれ。

というか、1番のネックは私が英語が非堪能なことなのだ。

ポンドはディナーする程度には十分あるし、万が一足りなかったらカードで払えばいいし、ていうかせっかくなんだからカードで払わなきゃいけないくらいの思い出づくりをしたれよ!

が、それができないのは、英語が話せないという不安からだ。

レストランで何か聞かれても、あわあわして何も答えられないのは目に見えてるし、オーダーくらいなら適当にできるだろうが、カップルや家族連れでディナーをいただく人たちの中で、一人カレーを食べながら「カラーン!」とフォークを落としてしまったりしたらどうしたらいいんだろう。

レストランでは自分で拾わないのがマナーと聞くが、ロンドンもそうだろうか?

心を落ち着けるために、とりあえず周辺を歩くことにした。

一旦この場所を離れ、それでもやっぱりカレーが食べたい、という思いを育てることで、勇気を出す作戦である。

大英博物館から10分程度のあたりだが、日本語メニューの書かれたフィッシュアンドチップス屋さんなんかがある、ああ、もう、この店でもいいか、という気持ちになる。

そういえば10年ほど前、ゼミ旅行でバンコクに行ったときも3日目には値切るのにも疲れてそのままの値段で買っていた。

外国語を話すのも、外国でコミュニケーションを取るのも疲れる。

さらにその近くには、日本人がいる美容室があった。よく分からんが海外進出した日本の美容院なのか、それともたまたま日本人が働いているだけなのか分からないが目に留まった。

暑い、汗がベタベタして、足も疲れた。連日歩いているのでポンプフューリーの中では足の裏に水ぶくれができていた。

 

そうして結局私が買ったのは、フィッシュアンドチップスの店でパイとフライドポテトをテイクアウェイしたのだ。

(さっきの日本語メニューの店ではない)

これでいいのか、いいわけないだろ。

しかも、せめて食べてみたかったキドニーパイを頼もうとしたら売り切れていたので、普通にビーフアンドオニオンのパイである。

キドニーパイは臓物のパイで、イギリス独特のものだからぜひお試しあれ、とガイドブックにあったのだ。

ちなみに、買った店はいかにもリーズナブルな店で、表に堂々と値段の書いた看板が出ていて、店で食べることも持ち帰りもでき、何より観光客にもわかりやすくでかでかと「Fish and Chips」と書いてある店だ。

そして、なにか生野菜でも食べようと、ホテル近くの安い売店でサラダを購入した。

考えたくないけど、もしかして今回のロンドン一人旅は失敗なのではないか?

明日で最後という暗い気持ちにどんどん拍車がかかる。

はっきりいってこの先低迷を極める日本と私の人生において、最初で最後のロンドン一人旅、その最後の飯が血迷ったファストフードでいいのだろうか。

第一、サラダはふたを開けた瞬間チーズか何かがダメになっていそうな臭いだったので全て捨てた。

私の人生そのものではないか?血迷った挙句、元来の怠け心が起きだし、勇気と思い切り、そして知性(語学)がないせいで非ベストな決断を下し、「それなり」の結果が待っているという。

そして食べきれずポテトはホテルのゴミ箱に捨てた。

 

ちなみに、パイは普通においしかった。昔サンジェルマン(パン屋)でバイトをしていたけど、そこのミートパイの味がした。

それと、もう最後なのに何もイギリスらしいことしていない・・・と思ってウェイトローズに行き、サマープディングを購入していた。

スポンジでフルーツをサンドし、シロップ漬けになったものがサマープディングである。

食べると意外と甘くなく、酸味があって爽やかな味、おいしいかどうかは分からないが、体験としてはまあよかった。

これがロンドン最後の夜、最後のディナー。

イギリスの飯はまずい、とは世界共通で有名な話のようだが、ここにきて「最近はそうでもない」というのが有名な説になってきている。ように感じる。

というのも、移民が増えて多国籍になって、いろんな国の食べ物が食べられるから。

しかし、私は「これは!」という飯にありつけなかった。全ては語学力のなさが、さらに私から勇気とコミュニケーション能力を奪ったためである。

それを踏まえて考えると、もしかして、イギリスの飯はマズイ!と言っていた(少なくとも)日本人は、単に「ティスイズアペン」レベルの英語力でイギリスに行ったために、地元民の通う「うまい店」に行けなかっただけなのではないだろうか。

とにかく私の英語力は「戦後間もない日本」レベルであった。

 

思い切って転職をすることにし、その有休消化ではじめての一人旅をしているが、結局は日本にいる時と同じ、普段の自分「らしさ」で躓いている。

私のロンドン一人旅、もう巻き返しが効かないだろう。

明日は帰国の日だ。

 

p.s.この日初めてホテルからウェイトローズへの近道を見つけた。

いつも出る通りと反対側の道から行けば、ウェイトローズほぼ直結の道路で行けたのだった。

灯台下暗し、青い鳥は籠の中に、である。